コラム

星野真里の“いろどり日記”
「Adventure」

23.09.01いろどり日記

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夕暮れが近づくにつれ、少しずつ気温が下がってゆく。
夏のなごりとも秋のおとずれともいえる生暖かい風を残し、太陽は明日へと向かう。夜を越え、再び私たちの前に現れるとき、昨日よりも秋めいた顔をしているのだろう。

私の顔もそろそろ秋の装いにしてゆかなくては。
この夏は目元に色を乗せることを楽しんだ。オレンジやイエローなどのビタミンカラーを目尻にのせるだけで表情が明るくなることを知ったことは大きな収穫だ。目元を明るくすると今度は口元にも明るさが欲しくなる。夏の解放感を私はポイントメイクで思う存分味わった。
秋といえば大地の色味だろうか。バーガンディーやグレージュなど落ち着いた色へとシフトチェンジをしながら来たる季節のメイクを楽しんでゆきたいと思う。
photo by mari hoshino
夜風に吹かれながらふと思う。
次の季節とは夜にやってくるものなのかもしれない。
やわらかな月の光の中で、去るものと来るものがほんの束の間まじり合い、出会いと別れの挨拶を繰り返す。
そう考えると暗闇はやさしい空間だ。

実は、そんな優しい空間に見事に溶け合うような家族ができた。
黒のラブラドールレトリバー。名前はローク。
くろ。ろく。ろーく。そして「ローク」と名付けられた彼は今年の初め、我が家にやってきた。
photo by mari hoshino
本当に本当に真っ黒な彼は、ゲージの床の黒色と同化してしまい、よくよく目を凝らさないとどこにいるのか分からないほどだった。
しかし今ではすっかり我が家に慣れて、仰向けでおなかを見せて寝てくれるおかげで居場所がわかるようになっている。

彼と暮らし始めるにあたり一番の気がかりだったのはこちらの体力がもつか、ということ。
朝晩のお散歩に加え、けがや病気、そして年を重ねて動けなくなった時でもきちんとお世話をしてあげられるのか。
何が起こるのか分からないのが未来だけれど、この先体力が一番あるのはきっと今!ということは確かなことだろう。なんとかなる、いや、なんとかする、と誓うことで大きな最初の一歩を踏み出した。

彼と出会う半年以上も前から、すでに朝のウォーキングを日課としていたことも大きな後押しになったと思う。見た目だけではない体づくりに取り組んできたおかげで新たな挑戦をすることができたのだ。

ささやかな変化が、さらなる変化を呼び寄せて、私の世界を広げてゆく。

犬はわずか1年で成犬になるそうだ。
ロークの著しい成長を感じられる我が家は今、エネルギーに満ちている。
一緒に暮らし始めた当初は6キロほどだった体重はもうすぐ30キロに到達しそうである。遊んで遊んで!と後ろ脚で立ち上がると、彼の顔は私の肩のあたりまできてしまう。
まさか私がこんなに大きな犬と暮らすようになるなんて。
想像をしてこなかった未来にいる。
これはもう冒険だ。
私はただ今冒険の真っただ中。未開の地を目指し、今日も突き進んでゆくのみである。


幼犬の艶めく黒い毛はここに光があると教えてくれる


ロークが動くたび、その漆黒の毛並みに光が映し出される。それは普段私が気づくことのできない光だ。
どこにいても光があるということを、私は彼に教えてもらった。

皆さまにも実り多き時が訪れますように。
photo by mari hoshino
星野真里

星野真里

女優・タレント。1981年7月27日生まれ,埼玉県出身。O型。1995年にNHKドラマ『春よ、来い』でデビュー。同年にTBS系ドラマ『3年B組金八先生』に坂本乙女役で出演し、認知度を高めた。

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